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早期離床!検査データのみかた

こんにちは、理学療法士のぴーです。      

  

前回の記事で早期離床の基本について書かせていただきました。

              

http://4.bp.blogspot.com/-W4iIKTHkwVc/Vb3dwBtYCOI/AAAAAAAAwSs/UgMgmVGGYdw/s180-c/medical_tenteki.png 

離床を行っていくにあたって、いろいろと情報収集をして安全に行っていくと思います。

 

今回の記事では検査データのみかたについて書いていこうと思います。

              

 
・検査データって何を見ればいいの??

検査データといってもなにを見ればいいんだろう。。。
まずはこの問題にぶつかりますよね。
検査データといっても漠然としすぎててどうしたらいいのやら。。。

検査データで見なければいけないのが


生化学、血液データ   http://4.bp.blogspot.com/-UAisQnXwMe8/UOJ4BDo7TmI/AAAAAAAAKLA/LymV17pLXiw/s180-c/kenkoushindan_saiketsu.png


です。

生化学検査とは、血液や尿、便などから一部採取し化学的な分析を行い内臓の疾患や感染症の有無を調べる検査のことです。
このデータをみて、炎症反応や腎機能等の異常がないか見ていくわけですね。

これらのデータを上手に活用することで全身の状態を把握することができます。


・それぞれの検査データについて詳しく見ていこう

ではここから、実際にそれぞれの検査データがどのような意味を示しているかみていきましょう。

①炎症反応の有無をみるには・・・


CRP(C反応性タンパク)

→急性炎症を反映する検査。体内での炎症や組織障害などにより増加します。

CRP濃度は炎症反応の強さに相関するため体内の炎症反応の指標として用いられます。

CRPは白血球が産生する炎症性サイトカインが肝臓に作用し作られます。

なので、体内で炎症があっても、肝機能の低下や好中球減少症などがある患者ではCRPが高値にならない場合があり、そういったところも考慮が必要である。


・白血球数(WBC)

→白血球は細菌やウイルスの貪食・殺菌、アレルギー反応等の作用を持ちます。

そのため、感染や炎症により高値となります。

 

上記の値が高値ということは炎症反応を示しています。

炎症反応があるということは体の中で免疫細胞が頑張っているわけで、エネルギーも使います。炎症反応が高値であるのに積極的に離床を進めていくのはナンセンスですね。

 

 

②栄養状態をみるには・・・


・TP(血清総タンパク)

→血清中に存在する100種類以上のタンパク質の総量。


・Alb(アルブミン)

→TPの内の60~70%を占める浸透圧維持や各種物質・薬物の輸送として働いているタンパク質。低値になると栄養障害、腎機能障害等が疑われます。

 

全身の栄養状態を把握することができます。

タンパクが低値なのに運動を行うということはエネルギーが少ないなかで運動を行うということ。その状態で負荷量の大きい運動を行うとエネルギーが足りなくなって筋肉のタンパクを分解しエネルギーとして使います。運動をしているのに筋肉を壊しているんです。

ICUで入院されている患者は感染や外傷、術後の影響で炎症を起こしていたりすることが多いと思います。その創傷にもエネルギーを使うわけです。

そのため、PTは栄養も考慮し運動負荷を決めていかないといけないのです。


③腎機能をみるには


・BUN

血液中の尿素に含まれる窒素を表しています。

これらは腎臓の糸球体で濾過され尿として体外に排泄されます。

しかし、腎機能障害により糸球体濾過量が低下すると体内に窒素が残ってしまい、BUNの値が上昇してしまいます。


・Cre(血清クレアチニン

 肝臓でクレアチン(筋で使われるエネルギーでアミノ酸の一部)が産生され筋肉で非酵素的脱水反応によりクレアチニンが産生されます。簡単に言うと筋肉を使った時に作られる老廃物です。

これも糸球体で濾過され尿として体外に排泄されます。

つまり、腎臓の機能障害により血中濃度は上昇します。また、クレアチンは筋肉の量に関係するため、筋肉量が少ない方(例えば筋ジストロフィーなど)では減少します。

腎臓機能障害があり濾過量が低下しているということは体内に水分が多い状態。

その影響で胸水、心不全、全身の浮腫などの症状が生じる可能性があります。

リスク管理として腎機能をチェックしておくは重要かと思います。

 

 

いろいろ話してきましたが上記のように介入前に検査データを見てからいくことでリスク管理を行うことができ、安全に離床を進めていくことができると思います。

参考にしていただけたらと思います。

 

では、次の記事もよろしくお願いいたします。

 

最後まで読んでいただきありがとうございました!!

 

理学療法士 ぴー

 

・参考文献

検査データの見かた

病気が見える vol3,6