脳血管疾患の評価の仕方2
こんにちは!
理学療法士のぴーです!
前回の記事で書いた続きで脳血管疾患の評価の仕方について書いていこうと思います。
・生活環境
脳血管疾患を見ていく上で身体機能を評価をするのは大切ですよね。
でもそれだけでは患者を最適なゴールへ導いて行けないと思います。
運動麻痺や感覚障害が軽度で動作に特に問題がなければ特に生活環境を評価しなくても自宅退院可能かもしれませんね。
しかし、運動麻痺が重度で介助下でならなんとか生活出来る患者がいたとしましょう。
その場合、単純に身体機能面だけ見ていては退院先が見えてきません。
何人暮らしなのか?日中誰かいるのか?段差はあるのか?などなどこういったことを考慮していかなければなりません。
麻痺が重いから施設転院というわけにはならないのです。
では、生活環境でどのようなことを評価すればよいのでしょうか?
・家屋状況
・家族状況
大きくはこの2つになると思います。
家屋状況では、部屋の構造、部屋からトイレ・お風呂場・居間への動線、段差の有無などなど。
家族状況では、何人暮らしか、介助の協力は得られそうか、日中人はいるのかなどなど。
最低でも上記の項目は必須かと思われます。
まだまだ評価しなければならないことはありますが今回は基礎的なところで。
こういった評価によって、急性期ならそのまま帰るのか、回復期に転院するのか、それとも施設に行くのか方向性にも非常に役立ちます。
ぜひ、機能面だけでなくその患者の全体像を把握して頂けると良いと思います。
そうすればよりよい患者のゴールへと導けると思います。
では。
理学療法士 ぴー
脳血管疾患の評価の仕方1
こんにちは。理学療法士のぴーです!
今回は臨床的な話で脳血管疾患の評価について書いていこうかなと思います!
実習生や新人さん向けに簡単に書いていけたらと思います。
・どういった所を診ていけばいいの??
評価の仕方と書きましたが、評価項目以外にも情報収集しなければならないことはたくさんあるの思います。
身体機能面だけみるのであれば運動麻痺とか筋力とか感覚などを評価していけばいいと思います。
実際、学生の時は身体機能面しか見てなくて一方向からしか患者を見ていませんでした。
しかし、実際に働いている中で身体機能面だけで治療を行っていては患者を最適なゴールへ導いて行けないことを身にしみて実感しました。
では、どういった情報を集めていかないと行けないのでしょうか?
・脳画像
・生活環境
・生活状況
・入院前ADL
・既往歴
・神経学的所見(麻痺、感覚等)
などなど他にもあると思いますが、今回は上記のものについて触れていこうと思います。
・脳画像
患者の所へ評価しに行く前に見なければ行けないのが脳画像になります。
脳画像の種類には大きく2つあります。
MRIとCT画像です。
一般的にMRIは脳梗塞、CTは脳出血を見るのに優れています。
急性期の脳梗塞であればDiffusionで確認。
陳旧性(昔の脳梗塞)のものはflare画像を用いていきます。
MRIはもっと種類がありますが色々説明するとこんがらがりそうなので、今回は代表的なもののみを書かせていただきました。
さぁ、次は実際に梗塞像、出血像をみてなにが障害されそうか予測します。
これが非常に大切になってきます。
予後予測や評価をしていく上で非常に大事な情報になります。
この過程を行っていく上で大切になってくる知識が学校で勉強した解剖学の知識です!
学校で錐体路がどこを通ってとか感覚神経はどこを通ってなどやったと思います。
授業中はこんなの覚えてどうするんだよ!!って私は思ってました。。。。
でもすごく大切なんだなと今はすごく実感します。
この知識が頭に入ってれば、ここが梗塞されてるからこういう障害がおきそうだな〜など予測をたてることができますよね?
そうなってくれば自ずと絶対に評価しなければならないことも決まってくるはず
また、予後予測にも非常に大切で理学療法士は医師にどこまでのレベル(歩行可能なのか?車椅子がゴールなのか?)まで到達できるか求めてきます。
錐体路ががっつり障害されているなら重度麻痺を呈しそう。脊髄視床路がやられてるなら感覚が障害されて歩行の獲得が難しいかななど予後予測に役立ちます。
参考文献などでも予後予測に関することは沢山書かれています。そういったものも活用し予後予測を決めていくことが患者のゴール設定を行う上で重要であると言えます。
ゴール設定を曖昧にしてしまうと治療も曖昧なまま進んでしまい効果的な治療は行えないと思います。
脳画像の話だけでかなり長くなってしまいました、、、
ほかの評価については次の記事にします、、、、
次回の記事で生活環境、生活状況、入院前ADLについて書こうと思います。
こちらも非常に重要なのでぜひチェックしてみてください!!!!
ではこのへんで失礼します。
理学療法士 ぴー
早期離床!検査データのみかた
こんにちは、理学療法士のぴーです。
前回の記事で早期離床の基本について書かせていただきました。
離床を行っていくにあたって、いろいろと情報収集をして安全に行っていくと思います。
今回の記事では検査データのみかたについて書いていこうと思います。
・検査データって何を見ればいいの??
検査データといってもなにを見ればいいんだろう。。。
まずはこの問題にぶつかりますよね。
検査データといっても漠然としすぎててどうしたらいいのやら。。。
検査データで見なければいけないのが
生化学、血液データ
です。
生化学検査とは、血液や尿、便などから一部採取し化学的な分析を行い内臓の疾患や感染症の有無を調べる検査のことです。
このデータをみて、炎症反応や腎機能等の異常がないか見ていくわけですね。
これらのデータを上手に活用することで全身の状態を把握することができます。
・それぞれの検査データについて詳しく見ていこう
ではここから、実際にそれぞれの検査データがどのような意味を示しているかみていきましょう。
①炎症反応の有無をみるには・・・
・CRP(C反応性タンパク)
→急性炎症を反映する検査。体内での炎症や組織障害などにより増加します。
CRP濃度は炎症反応の強さに相関するため体内の炎症反応の指標として用いられます。
CRPは白血球が産生する炎症性サイトカインが肝臓に作用し作られます。
なので、体内で炎症があっても、肝機能の低下や好中球減少症などがある患者ではCRPが高値にならない場合があり、そういったところも考慮が必要である。
・白血球数(WBC)
→白血球は細菌やウイルスの貪食・殺菌、アレルギー反応等の作用を持ちます。
そのため、感染や炎症により高値となります。
上記の値が高値ということは炎症反応を示しています。
炎症反応があるということは体の中で免疫細胞が頑張っているわけで、エネルギーも使います。炎症反応が高値であるのに積極的に離床を進めていくのはナンセンスですね。
②栄養状態をみるには・・・
・TP(血清総タンパク)
→血清中に存在する100種類以上のタンパク質の総量。
・Alb(アルブミン)
→TPの内の60~70%を占める浸透圧維持や各種物質・薬物の輸送として働いているタンパク質。低値になると栄養障害、腎機能障害等が疑われます。
全身の栄養状態を把握することができます。
タンパクが低値なのに運動を行うということはエネルギーが少ないなかで運動を行うということ。その状態で負荷量の大きい運動を行うとエネルギーが足りなくなって筋肉のタンパクを分解しエネルギーとして使います。運動をしているのに筋肉を壊しているんです。
ICUで入院されている患者は感染や外傷、術後の影響で炎症を起こしていたりすることが多いと思います。その創傷にもエネルギーを使うわけです。
そのため、PTは栄養も考慮し運動負荷を決めていかないといけないのです。
③腎機能をみるには
・BUN
→血液中の尿素に含まれる窒素を表しています。
これらは腎臓の糸球体で濾過され尿として体外に排泄されます。
しかし、腎機能障害により糸球体濾過量が低下すると体内に窒素が残ってしまい、BUNの値が上昇してしまいます。
・Cre(血清クレアチニン)
肝臓でクレアチン(筋で使われるエネルギーでアミノ酸の一部)が産生され筋肉で非酵素的脱水反応によりクレアチニンが産生されます。簡単に言うと筋肉を使った時に作られる老廃物です。
これも糸球体で濾過され尿として体外に排泄されます。
つまり、腎臓の機能障害により血中濃度は上昇します。また、クレアチンは筋肉の量に関係するため、筋肉量が少ない方(例えば筋ジストロフィーなど)では減少します。
腎臓機能障害があり濾過量が低下しているということは体内に水分が多い状態。
その影響で胸水、心不全、全身の浮腫などの症状が生じる可能性があります。
リスク管理として腎機能をチェックしておくは重要かと思います。
いろいろ話してきましたが上記のように介入前に検査データを見てからいくことでリスク管理を行うことができ、安全に離床を進めていくことができると思います。
参考にしていただけたらと思います。
では、次の記事もよろしくお願いいたします。
最後まで読んでいただきありがとうございました!!
理学療法士 ぴー
・参考文献
検査データの見かた
病気が見える vol3,6
早期離床!なぜ早期から離床をするの?
こんにちは、ぴーです。
急性期病院で働いてる方々は早期から離床を行っていくと思います。
術後患者等を早期から起こしていかないといけないとは思いますが、なぜ早期から起こすんだろ?安静にした方がいいんじゃないの?など疑問をお持ちの方もいらっしゃると思います。
今回は早期離床をなぜするのか?身体にどういったことが起こるのかなど説明していきたいと思います。
・早期離床の起源
早期離床を行ったという最初の報告は1899年。
婦人科術後、早期より離床を行ったことにより早期から歩行が可能に。
初めの頃は安静臥床が主流であったため、早期離床が広まっていなかった。
しかし、1940年頃よりアメリカで早期離床が安全であるという報告がされアメリカ全土で早期離床が広まっていった。
(この背景には病床不足等により早く退院させないと病院が回らなかったため)
・なぜ早期から離床をしていくの?
早期離床を行っていくとどのようないいことがあるのでしょうか?
①腹部外科手術後の呼吸器合併症が起こる確率が減少
②人工呼吸器管理患者の抜管までの期間短縮
③早期よりADL自立、せん妄の発生率減少、自宅退院率が向上
・早期離床が怖い。。。
ICUに入室している患者はライン類がたくさんついていたり、人工呼吸器管理で事故抜去したらどうしよう。。。っていう風に思ったりしたことがあるのではないでしょうか?
たしかに怖いですよね。
ですが、ある報告によりますと人工呼吸器管理患者におけるインシデント・アクシデントは1%未満という結果がでています。
また、挿管患者に対する498回の介入で生命に危険を及ぼすほどの有害事象はなかったという報告があります。
つまり、しっかりと知識を持ち、チーム医療を行っていけば安全に早期離床をしていくことができるのです。
次の記事で早期離床を行っていく上でのポイントや確認しなければならないことを書いていこうと思います!
運動器疾患 画像の見方!
運動器疾患ではほとんどの場合レントゲンを撮ると思います。
でも、新人の方はよく見方が分からないからただ何となく画像を見ていませんか?
ボクも初めはそうでした。先輩に画像を見るのは大切だよと言われていましたがいまいち必要性がわかんない。実際に患者さんを評価したらいいじゃん。など、、、
でも、ある参考書を読んでから考え方がかなり変わりました。レントゲン画像ってこんなに大切なんだなと。
今回はレントゲン画像の見方を簡単に伝えられたらと思います。
・なぜレントゲン画像を撮るの?
画像を撮るのは決して僕ら理学療法士のためではありません。あくまでも医者の診断のために画像は撮られます。
ですがこの診断のために撮られた画像をうまく使っていくことで理学療法をより効率的、効果的に行っていくことが出来ると思います。
・レントゲン画像を見るポイント
大きくポイントを上げるとしたら下記のものになります。
①骨折部位の確認
②そこの周囲を走行している組織を把握
③どの組織に障害が生じてきそうか予測する
1つずつ解説していきます。
①骨折部位の確認
これは皆さんも確認すると思います。
どこが折れているのか、どれくらいの損傷なのかなど確認していきますよね。手術をしているなら、復元度はどうかなど見ていきます。
損傷の程度によって疼痛や腫脹、浮腫の程度も変わってくるためしっかりチェックしましょう。
②骨折部位周囲を走行している軟部組織の確認
③どの組織に障害が生じてきそうか予測する
理学療法を行っていくこと上でかなり大事な作業です。
この作業を行っていないと、実際に評価して例えば可動域制限が生じた際に問題点を見つけるのに難渋すると思います。
ですが、画像で予測を立てることでそこに対して評価を行って問題点を抽出していくことができるのです。
具体的に話していきますと、例えば踵骨骨折の患者様がいたとします。
その骨折線が腓骨筋滑車に至っていたとしましょう。そしたら、そこになにが走行しているか考えます。この時に重要になってくるのが解剖学の知識です。
1つ上げるとしたら腓骨筋滑車の周囲には長短腓骨筋が走行していますね。そしたら長短腓骨筋に滑走障害が生じて制限が生じてくるかなって予測を立てることができますよね。
こういう風に画像を使って予測を立てていくことが重要となります。
すごく簡単に書きましたが画像を見ていく流れはこんな感じになります。
いつもの診療に少しでも役に立ったら嬉しいです。
今回書いた記事について詳しく書いてあるのが下記にある参考書になります
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この本はとてもわかりやすくて勉強になります。
整形リハ学会の浅野先生が書かれている本で、上記でお話したような内容がより詳しく書かれています。
新人で画像の見方がよく分からないとお悩みの方はぜひ読んでみて下さい!必ず役立つ参考書だと思います!
理学療法士 ぺー
・参考文献
血糖調節について
一般的に糖尿病の診断には血糖値が用いられます。
食事をすると血中の糖濃度が上がりますね。このまま血糖が高いままだと様々な障害が生じてしまいますね?
では、体の中ではどのように血糖調節が行われているのでしょうか。
・空腹時
空腹時は食べ物による血中への糖の流れはなく、血糖値は一定の値を保たれています。
食物からの糖の取り込みがない状態でどのように血糖値を保っているのでしょうか?
インスリンの分泌はあるものの、インスリン拮抗ホルモンによってその分泌は抑制されます。
空腹時でも血糖値を一定に保つためにインスリンが肝臓や筋肉、脂肪組織に働きかけ糖の取り込みを制御しています。
一方で、空腹時でも体を動かすにはエネルギーが必要ですよね?脳や筋肉は糖を取り込んで働いています。次はその流れを説明したいと思います。
血中のグルコースが低下するとインスリン拮抗ホルモン(グルカゴン、カテコールアミン、コルチゾール、成長ホルモン→血糖値を上げるホルモン)が分泌されます。そのホルモンによって肝臓や筋肉、脂肪組織で糖新生が生じます。
筋肉ではグリコーゲンが分解されピルビン酸になり、それが肝臓に運ばれて代謝されグルコースとなります。
脂肪組織ではTG(中性脂肪)が分解されグリセロールとFFA(遊離脂肪酸)に分解され、グリセロールは肝臓で代謝されてグルコースになります。FFAはそのまま全身の組織でエネルギー源として直接利用されます。
ざっくり説明するとこんな感じで空腹時も血糖値を保つためにインスリンとインスリン拮抗ホルモンが調節してくれています。
・摂食時
次は摂取時の血糖値調節について説明していこうと思います。
摂取された糖質は消化器官によって分解されてブドウ糖として小腸で吸収されます。
その結果、血糖値の急激な上昇が生じます。
インスリンの働きにより肝臓や筋肉、脂肪組織での糖の取り込み率が上昇します。
逆に肝臓での糖の放出率は減少します。
この時、肝臓や筋肉、脂肪組織ではどのようなことが起きているのでしょうか?
肝臓ではグルコースを取り込みグリコーゲンへと合成します。筋肉でも同様にグリコーゲンへと合成します。
脂肪組織では、グルコースを取り込み中性脂肪(TG)へと合成します。
これにより血中の糖の値を調節することができるわけですね。
ざっとではありますが血糖調節についてお話させていただきました!
少しでもお役にたてたら幸いです。
最後まで読んでいただきありがとうございました。
次の記事もぜひ読んでいただけたら幸いです。
理学療法士 ぴー
・参考文献
病気がみえるvol 3
糖尿病療養指導ガイドブック2018